人は、自分が「分かっていること」ほど言葉に出る|元刑事が見てきた無意識の正体

人は、自分が「分かっていること」ほど言葉に出る|元刑事が見てきた無意識の正体
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人は、自分が「分かっていること」ほど言葉に無意識が出ます。

これは、刑事として何千人もの話を聞いてきて、何度も感じてきたことです。

人は嘘をつくとき、論理やストーリーを必死に整えます。けれど、自分では疑っていない前提、自分の中で「当たり前」になっていることほど、無防備なまま言葉として外に出てしまう。

今日はそんな、言葉と無意識の関係について、ひとつ印象的なエピソードを交えながらお話ししたいと思います。

それ真実が漏れ出てるよ。

先日、家のゴミ箱を見たときのことです。食べ終わった味噌の容器が、中を洗わないままそのまま捨てられていました。この状態だと虫がわいたり、ニオイの原因になります。

気づいたので取り出して洗っていたところ、その様子を見ていた妻が、ふとこんなことを言いました。

「だれの仕業だろうね〜」「気づかずに、そのまま捨てたのかなぁ」
「それとも、分かってたけど面倒くさくて捨てたのかなぁ」

その瞬間、ピンときました。「捨てたの、君だねw」。

そして続けてこう言いました。「“分かってたけど面倒くさかった”って、捨てた本人じゃないと、なかなか出てこない主観だからね」完全に刑事の口調です笑。本人も一瞬固まり、そのあと夫婦で爆笑しました。

冗談のような話ですが、取り調べの現場では本当によくあることです。

刑事時代、3,000人以上の取り調べをしましたが、ぼくが一番注目していたのは、供述の内容そのものよりも、「言葉の選び方、言い回し、主語の置き方」でした。

なぜかというと、言葉にはその人の心の状態や前提が、そのまま出るからです。

嘘をついているとき、言葉がどこか引っかかることがあります。

それは論理が破綻しているからではなく、無意識の前提と合っていない言葉を使っているからです。

例えば、本当は心の中ではムカついて、はらわた煮えくりかえっているのに、言葉は「嬉しいです」といったら、言葉に微妙な違和感をあるみたいな感じです。

人が言葉を発するときには、必ず「思考 → 脳内での言語化 → 発する」というプロセスを通ります。

だから、無意識に出た一言、言い訳の仕方、主語の置き方といった部分に、その人の心の状態や思考の癖がはっきりと現れます。

ぼくは普段、人の「言葉」そのものよりも、その奥にある前提や思考パターンを見るようにしています。

コンサルの現場でも、やっていることはまったく同じです。

外見や肩書きは変わっていなくても、言葉が急にキツくなったり、逆にやさしくなったりすることがあります。それは、その人の内側がすでに変化しているサインです。

身口意という考え方

ぼくは仏教用語の「身口意」という言葉がとても好きです。

身口意とは、仏教において人間の行いを形作る3つの要素「身(身体の行動)・口(発する言葉)・意(心で思うこと)」を指す言葉です。

仏教では、これら3つの働き(三業)が一致し、調和している状態が理想であると教えられています。逆に言えば、心で思っていることと、口にする言葉、実際の行動がバラバラであるとき、私たちは悩みや苦しみを生み出しやすくなります。

「身口意(しんくい)」の意味とは?心・言葉・行動の調和が人生を豊かにする

身は身体の行動、口は発する言葉、意は心で思うこと。話す言葉も、書く文章も同じです。

どれだけ取り繕っても、言葉にはその人の在り方、心の状態、価値観がにじみ出ます。

ライティングで在り方が大切な理由

ビジネスの世界では「在り方が大事」とよく言われますが、ライティングにおいてはそれがよりダイレクトに文字として表れます。だからこそ

  • 自分はどうありたいのか
  • 何を大切にしたいのか
  • 何のためにこの仕事をしているのか。

こうした問いを普段から考えている人の言葉は、自然と深みが出て、どこか尖ります。そして結果的に、選ばれたり、信頼されたり、仕事につながっていく。そんな場面を、これまで何度も見てきました。

人は、自分が疑っていないことほど無防備です。そして、無防備な部分ほど言葉に出ます。

もし最近、言葉が荒れてきた、同じ説明を何度もしている、相手にうまく伝わらない感覚がある、そんな違和感があるとしたら、それはスキルの問題ではなく、前提や在り方を見直すサインかもしれません。

言葉は、あなたの内側を映す鏡です。

コンサルの現場で、よくこんなことを言われます。

「なんでそんなこと分かるんですか?」「親や兄弟より、私のこと分かってません?」

正直に言うと「警部はエスパーですか?」と言われたこともあります笑。

特殊能力とかそんなことではなくて、ただ、目の前の人の言葉を丁寧に見ているだけです。そして、できるだけ優しく関わろうとしているだけです。

言葉を変えようとする前に、在り方に目を向ける。

その視点が、きっとあなた自身の言葉も変えていくはずです。

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