【リアル刑事ドラマ】泣いちゃいけない、分かっていたけど 涙腺が崩壊して止められなかった そのときの上司はいつもより優しかった

まだ、刑事になったばかりのヒヨコ時代の話

めっちゃ仕事ができるけど、たまに、なにを考えているかわからない、厳しい上司がいた。ぼくは、どんなときもテキパキと仕事をこなす、その上司をとても尊敬していた。

このカッコいい上司に認められたい。ほめられたい。若さゆえの未熟さと単純さがぼくをはりきらせていた笑。

「臨場」という映画化もされた、横山秀夫原作の小説はご存知でしょうか?

臨場 (光文社文庫)
臨場――警察組織では、事件現場に臨み、初動捜査に当たることをいう。捜査一課調査官・倉石義男は死者からのメッセージを的確に掴み取る。誰もが自殺や病死と疑わない案件を殺人と見破り、また、殺人の見立てを「事件性なし」と覆(くつがえ)してきた。人呼んで『終身検視官』――。組織に与せず、己の道を貫く男の生き様を、ストイックに描いた傑作警察小説集。(出典元:Amazon)

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警察は、ヒトが亡くなると事件性があるかどうかを捜査する。自然死でも病死でも、なぜ亡くなったか?死因がわからなけばそこに例外はありません。

事件性が認められれば、ケースバイケースですが、特別捜査本部などを立ち上げて、大掛かりに捜査を開始します。

現役当時、200体以上のご遺体を捜査した。

あるとき、家のなかでおばあちゃんが亡くなっている、との110番通報があった。ぼくは上司とともに何人かで臨場した。

亡くなったひとは、とても愛されていたんだろう。家には、連絡をうけた数人の親族があつまり、みんなボロボロ泣いていた。ぼくは遺族から話を聞くことになった。

遺族は、故人の生前のようすを嬉しそうに、悲しそうにボロボロ泣きながら話した。

こんな思い出があるとか、こんなことをしてくれたとか

「うんうん、そうなんですね」「ふむふむ・・・なるほど」

気がつくと、手元のメモに、水が滴り落ちて、ボールペンで書いた文字がにじんだ(雨?いやここは室内だ)自分の涙だった

捜査に感情移入はNG。わかっていたけど、涙腺が崩壊して止められなかった

「刑事さん・・・ありがとうございます。」

感情がたかぶっていた、そのときだった。

「やまざき!!!!」空気を切り裂くような、ドスの効いた声がぼくの耳に突き刺さった。ハッとして、声の方向を見ると無表情でぼくをみらみつける上司の顔がみえた。一瞬にして、涙はひっこみ、袖で急いで涙をふいた。

(ヤバい、怒らせてしまった・・・やってしまった・・・)自分の未熟さを心底呪った。

現場での処理がおわって車に乗りこみ、開口一番「捜査に感情をはさむな!」「感情にのまれると、判断をあやまる」「しっかりしろ!バカタレ!!」めちゃくちゃ怒られた・・・

「すいませんでした・・・(あぁ、やっちまったー)」

尊敬する上司の期待を裏切った、と胸が絶望感でうめつくされた。

すべての捜査をおえて事件性はないと判断された。「ありがとうございました」遺族から深々とお礼をされた。

だが、その想いを受け止められないほど、ぼくの心は穏やかではなかった。

疲れ切ったカラダで、着替えをすませて、帰宅準備をした。

喫煙所でたばこをすう、上司の姿がみえた。いつもより、すこし気まずかった。

「お疲れさまでした!」「お先に失礼します!」

『おう、お疲れさま』『刑事に感情は御法度だぞ』

「はい、すいませんでした!!」

上司に背を向けたときだった

「おい、ヤマザキ!」「はい!!!」

反射的に振りかえった瞬間

「オマエはいい刑事になるよ」

今まで見せたこともない、仏のような笑顔がみえた。時がとまった・・・いつも寡黙で、厳しい上司。(また怒らせてダメだ!)驚きと嬉しさで泣きそうになるのを必死で踏みとどまった。

『人を育てるために、たいせつなことはなにか』

その上司から教わったような気がした。

そのときの上司は、いつもより優しかった。

そして、誰よりもカッコよかった。

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